2010年05月08日

弁護士たちの主張

朝日新聞6月7日に「国際離婚 子の連れ去り」という記事が出ていて、
弁護士の山田由紀子さんが、いろいろと書いている。

ぼくは国家間の子の連れ去りについては、
正直、国際離婚破綻後連れ帰りの同居親の主張は苦しいと思っている。
それは単に異国で孤立しているということだけじゃなくって、
彼女たちを擁護するなら、条約の加盟に慎重にという主張ではなく、
海外の法律がおかしいと主張すべきだろうと思うのだ。

誘拐犯として母が逮捕されるのがおかしいと思うなら、
アメリカで、連れ去りをされると逮捕されるという法律がおかしいと
アメリカ政府に申し入れるべきだし、
DV被害者保護ができなくなるというなら、
アメリカのDV施策を批判すべきでしょう。
普通自国民保護といったとき、たとえば
麻薬の輸送で日本人が中国で死刑されたとき
中国政府に申し入れるでしょう。
それをせずに、日本の習慣とアメリカの習慣の違いを挙げ、
条約加盟に慎重にという、この弁護士の主張はおかしいと思う。
日本政府にも、アメリカの監護法制とDV施策はおかしいから変えるように
伝えてくれって圧力をかければいいでしょう。
ぜひ、人権保護の観点からやってください。どうしてしないんでしょうか。

選択的共同親権と面会権の制約が現在の弁護士会の見解として
最近は妥協できるところかなって思うのだけれど、
これについては、親権がなくなった場合、子どもの養育にかかわれなくなる
別居親の権利や義務についての配慮が欠けている点で現在とはあまり変わらない。
たとえば、この弁護士は
「弁護士として30年、離婚の争いを見てきて、
共同親権でうまくいくと思ったカップルはほとんどなかった」
と言っていて、それはそうだろうと思うよ。
弁護士は、法律を使って法廷で争うのが仕事であって、
対立をあおって、依頼人の利益を最大限に引き出す。
共同親権ができるカップルは裁判所に来ないかもしれない。
裁判所に来れば、法律家たちに振り回される。
恐怖心だってあおるし、金が取れるなら
子どもとの面会を取引材料にすることなんてよくある。

人質司法をしているのは弁護士だしね。

別居親の支援をしていると、
「ああ、また弁護士にアドバイスされたのね」
という感想を持つ案件が多すぎるのだ。
ぼくに言わせると、
「弁護士がついて、共同養育が実現できるようになったカップルはほとんどない」
というのが感想だ。
見ている現実が違うのだろう。
最近、選択的共同親権というときには
夫婦間に葛藤があれば、別居親の権利など無視しても
かまわないというように聞こえて、あまりいい気分がしない。

ちなみに、この弁護士は子どもの権利委員会の元委員のようで、
「保護を求めて帰国した日本人親子を、孤立と苦境の待ち受ける
外国に突き返すことは、子どもの権利条約がうたう「子どもの最善の利益」
を損なうことになる」
と結んでいるが、海外に残された外国人父親の苦境には配慮がない。
また、日本で実家に子どもを連れ去られ、会えなくなった日本人父親にも配慮がない。
また、日本で、父親に子どもを確保され、会えなくなった母親への配慮もない。
そして、日本に連れて帰られて父親に会わせてもらえなくなった子どもへの配慮もない。
日本から子どもを連れ去られたとき、海外では、日本では子どもが親に会えなくなるから
「脱出に成功した」という論調でとらえられることもあるということを知っているだろうか。

こういったさまざまな論点をスキップして選択的共同親権と言っているとしたら、
それは同居親の会わせない「権利」を擁護しているととらえられても仕方が
ないのではないだろうか。
それで、「子どもの最善の利益」と言えば、
会わせないのが許されると考えていたりはしないよねえ。
まあ、日本の裁判所なら許されるけどね。

もちろん、こういった問題の多くが、
離婚時に一方の親の親権を剥奪する法律構造と、
親権を剥奪された親の子どもの養育の権利と責任の重要性など
あまり考えてきた形跡のない、弁護士たちの無自覚が引き起こしたことであることが
わかっているなら、選択的共同親権の主張も納得できようが、とてもそうは思えません。
もしわかっているなら、日弁連もとうの昔に共同親権って言ってきたでしょうからね。
日弁連、いつになったら共同親権って言うんでしょうね。
10年ぐらい議論してきたから、あと10年後ぐらい。

別居親の運動に促され遅まきながら主張を始めたその内容がこれかと思うと、
別居親の権利など、本当になくっていいと思ってきた人たちのその程度が推し量れる。(宗像)
posted by kネット君 at 20:04| 東京 ☀| Comment(2) | むーみん谷 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
knet_logo_color[1].PNG
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。